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甘いものを食べると余計にお腹が空くのはなぜ?血糖値との関係と食べ方の工夫

主食のカラフルな盛り合わせ
むー

甘いものを食べたはずなのに、しばらくするとまたお腹が空いてくる——そんな経験はありませんか。

「気のせいかな」「意志が弱いだけかも」と思ってしまいがちですが、これには血糖値の動きが関係していると考えられています。今回は、なぜ甘いものを食べた後に空腹感が強くなりやすいのか、そしてどんな食べ方をすれば防げるのかを、研究データをもとに紹介します。

甘いものを食べると空腹感が強くなるのはなぜ?血糖値の乱高下が関係

血糖値が急に上がった後、今度は急に下がる

甘いものや白米・食パンのように、体にすぐ吸収される糖質(血糖値を上げやすい食品)を食べると、血糖値は食後すぐにぐっと上がります。ここまでは想像しやすいと思います。

問題はそのあとです。血糖値が急に上がると、それを下げようとインスリンというホルモンがたくさん出ます。すると今度は、食後2〜4時間ほど経った頃に、血糖値が食べる前よりも下がってしまうことがあります。これは「反応性低血糖」と呼ばれる現象です。

実際、ブドウ糖を使った検査を受けた650人のうち、ほとんどの人で血糖値がいったん空腹時より低い値まで下がっており、10人に1人は血糖値が47mg/dLを下回るところまで下がっていたという報告があります。血糖値の急降下は、特別な体質の人だけに起こることではなく、誰にでも起こりうる体の反応だと考えられます。

血糖値がガクッと下がった人ほど、その後たくさん食べていた

「血糖値が下がると空腹を感じやすくなる」という考え方自体は、1950年代からある古い仮説です。ただ、これを日常生活の中のデータで裏づけたのは、比較的最近の研究です。

2021年に発表されたPREDICT研究では、イギリスとアメリカの健康な成人1,070人に協力してもらい、血糖値を測る機器を装着した状態で、食後の血糖値の動きと空腹感・食事量の関係を調べました。その結果、食後2〜3時間の間に血糖値が大きく下がった人ほど、次の食事までの時間が短くなり、その後に食べる量も多くなる傾向が見られました。血糖値の下がり方が一番大きかったグループは、一番小さかったグループに比べて、24時間で食べたカロリーが平均312kcalほど多かったそうです。

312kcalというと、おにぎり2個分ほどです。「甘いものを食べた後、なんとなく食欲が収まらない」という感覚は、思い込みではなく、血糖値の変化として実際に確認されている現象だと言えそうです。

ちなみに、この研究は個人向けの栄養サービスを提供している会社からお金の支援を受けていて、その会社の社員も研究メンバーに入っています。きちんと審査を経て発表された研究ですが、この点は知っておいて損はないかなと思います。

血糖値が上がりやすい食べ物とは

食後の血糖値の上がりやすさは「GI値」という数字で表されます。GI値が高いほど、血糖値がぐんと上がりやすい食品です。

一般的にGI値が高いといわれるのは、たとえばこんな食べ物です。

  • ジュースや清涼飲料水など、糖分が液体に溶けているもの
  • 白米、食パン、菓子パンなど、精製された炭水化物
  • 練乳やたっぷりの砂糖を使ったお菓子

先ほどのPREDICT研究でも、ブドウ糖そのものを飲む条件(GI値はブドウ糖を基準の100として決められているので、いわば基準そのものの食品です)で、血糖値の下がり方が一番大きくなっていました。液体の糖分や、精製度の高い炭水化物ほど、血糖値が乱高下しやすいと考えられます。

血糖値の急上昇を防ぐには

GI値が低めの食品を選ぶ

全粒穀物、果物、乳製品、豆類などは、同じ糖質量でも血糖値の上がり方がゆるやかな食品です。甘いものが食べたくなったら、砂糖たっぷりのお菓子ではなく果物を選ぶ、といった工夫は血糖値の急上昇を抑える方向に働きます。

野菜やタンパク質を先に食べる

食べる順番を変えるだけでも、血糖値の上がり方は変わってきます。

2023年に発表された、日本人女性18人が参加した実験では、野菜を先に食べてから炭水化物を食べるグループの方が、食後30分・60分の血糖値とインスリンの値がしっかり抑えられていました。おもしろいのは、野菜を先に食べてさえいれば、早食いをしても血糖値の上がり方に差が出なかったという点です。つまり「ゆっくり食べる」ことよりも、「何を先に食べるか」の方が効いている可能性があるということです。

甘いものを食べるときも、お腹がペコペコの状態でいきなり単体で口にするより、食事の一部として、野菜やタンパク質を先に済ませてからデザートとして楽しむ方が、血糖値の急上昇を抑えられそうです。

ただし、血糖値が抑えられても満腹感まで保証されるわけではない

ここで一つ、正直にお伝えしておきたいことがあります。「血糖値の上がり方さえ抑えれば、空腹感もそれだけ改善する」と単純に言い切れるわけではないんです。

ニュージーランドで行われた実験では、砂糖の代わりに血糖値を上げにくい甘味料を使ったデザートを食べてもらい、血糖値と満腹感の両方を比べました。結果、血糖値には確かに差が出たのですが、お腹いっぱい感やその後の食事量には、はっきりした差が見られませんでした。

つまり、血糖値の変化は空腹感に影響する一つの要因ではあるけれど、それがすべてではないということです。食物繊維によるお腹の膨らみ、噛む回数、気持ちの満足感など、血糖値以外にも食欲に関わる要素はいろいろあります。今回紹介した工夫は「血糖値の急上昇を防ぐ」という一つの切り口であって、空腹感を完全にコントロールできる魔法の方法ではない、という前提で読んでもらえたらと思います。

まとめ:血糖値の変動を意識した甘いものとの付き合い方

甘いものを食べた後に感じる空腹感には、血糖値が急に上がってその後急に下がる「反応性低血糖」が関わっている可能性があります。血糖値の変動をゆるやかにするには、GI値が低めの食品を選ぶこと、そして野菜やタンパク質を先に食べることが、研究データで効果ありとされています。

ただし、ここで紹介したのはあくまで「関連がある」ことを示す研究であり、血糖値の変動だけがすべての空腹感の原因だと言い切れるわけではありません。個人差も大きく、体質や普段の食習慣によって血糖値の反応は変わってきます。

今回は「血糖値の急上昇を抑える」という切り口で紹介しましたが、空腹感のコントロールにはこれ以外にも効果が確認されている方法があります。たとえば、毎食タンパク質を意識してとることや、食事の前に野菜スープを飲んでおくことも、血糖値とは違う仕組みで満腹感を高めてくれます。こうした方法もあわせて試してみると、より無理なく食べる量をコントロールしやすくなるはずです。

空腹を抑える方法についての記事はこちら

参考文献

  • Wyatt P, et al. Postprandial glycaemic dips predict appetite and energy intake in healthy individuals. Nat Metab. 2021;3(4):523-529. 全文PDF
  • Ludwig DS. The glycemic index: physiological mechanisms relating to obesity, diabetes, and cardiovascular disease. JAMA. 2002;287(18):2414-2423. 全文PDF
  • Kendall FE, et al. The Comparative Effect on Satiety and Subsequent Energy Intake of Ingesting Sucrose or Isomaltulose Sweetened Trifle: A Randomized Crossover Trial. Nutrients. 2018;10(10):1504. 全文
  • Imai S, et al. Eating Vegetables First Regardless of Eating Speed Has a Significant Reducing Effect on Postprandial Blood Glucose and Insulin in Young Healthy Women: Randomized Controlled Cross-Over Study. Nutrients. 2023;15(5):1174. 全文

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歯科医師・ブロガー
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