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間欠的断食は本当に痩せるのか?研究から見る実態

断続的断食の一日サイクル図
むー

「間欠的断食(インターミッテント・ファスティング、IF)」とひとくくりに呼ばれることが多いですが、実はやり方によって内容がかなり違います。代表的な3つのタイプを見てみましょう。

1. 間欠的断食とは?まずは種類を整理

  • 隔日断食(ADF):1日おきに、普通に食べる日と大幅にカロリーを減らす日を繰り返す方法。完全に何も食べない日を作るやり方もあれば、必要カロリーの25%程度は食べてよいとする「ゆるめのADF」もあります。
  • 周期的断食(5:2ダイエットなど):週のうち2日だけ大幅にカロリーを減らし、残り5日は普段どおり食べる方法です。
  • 時間制限食(TRE):1日のうち、食べていい時間帯を決める方法。「16:8」(16時間食べずに、8時間の間だけ食事する)がよく知られています。

どの方法も「食べる量」より「食べるタイミング」を工夫する点が、従来のカロリー制限(毎日コツコツ食事量を減らす方法)との違いとしてよく語られます。ただ、このタイミングの工夫が本当に体重や代謝に意味のある差を生むのかどうかは、また別の話です。今回はそこを一次資料に基づいて確認していきます。

2. なぜ注目されてきたのか

間欠的断食が注目されてきた背景には、「メタボリックスイッチ」という考え方があります。ある程度の時間食べずにいると、エネルギー源がブドウ糖からケトン体(体に蓄えた脂肪が分解されてできるエネルギー源)に切り替わり、この切り替えがストレスへの強さや病気のリスク低下と関係しているかもしれない、というものです[1]

この考え方を幅広くまとめた総説として、よく引用されるのがde Cabo & Mattson(2019年、New England Journal of Medicine)です。動物実験からヒトの研究まで幅広く紹介されており、間欠的断食を学ぶ入り口としてよく参照されます。

ただし、1つ注意しておきたい点があります。この論文は権威ある雑誌に載っていますが、参加者をくじ引きのようにランダムに複数のグループへ分けて比較する「ランダム化比較試験(RCT)」ではなく、専門家が過去の研究を独自の視点で幅広くまとめた「総説(narrative review)」です。一定のルールに沿って関連研究をできるだけ漏れなく集めて評価する「システマティックレビュー」や、複数の研究データを統計的にまとめて1つの結果として示す「メタ解析」と比べると、エビデンスとしての強さは一段下がります。また著者の一人であるMattson氏は、間欠的断食研究を長年けん引してきた研究者であり、この分野に肯定的な立場から書かれた総説だという点も踏まえておく必要があります。ここで紹介されているのは、あくまで「こういう仕組みが提案されている」という段階の話であり、「これで痩せることが証明された」という話ではありません。

3. 「隔日断食(ADF)に特別な効果はない」ことを示した大規模な試験

間欠的断食の効果を調べた代表的な試験として、Trepanowskiらによる2017年のJAMA Internal Medicine誌の論文があります[2]

肥満のある成人100人を、①隔日断食(ADF)群、②毎日カロリー制限(CER)群、③何もしない対照群、の3つに分けて、6ヶ月間の減量期間と、その後6ヶ月間の体重維持期間を追跡した試験です。結果として、ADF群とCER群のあいだで、減量効果に明確な差は見られませんでした。

実務的に見逃せないのが、途中でやめてしまった人の割合(脱落率)です。ADF群は38%と、CER群(29%)や対照群(26%)より高くなっていました。試験の途中で、ADF群の参加者は、断食日には予定より多く食べ、通常日には予定より少なく食べる、という傾向がありました。つまり結果的に、食事パターンがCERに近づいていったのです。さらに、血圧や中性脂肪、空腹時血糖などの多くの数値では両群に差がなかった一方で、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)についてはADF群の方がCER群より有意に(誤差では説明がつかないレベルで)高くなっており、心血管リスク(心臓や血管の病気になるリスク)の観点からはむしろ不利な結果も一部含まれていました。

この試験からわかるのは、大きく2つのことです。「隔日断食という方法自体に、カロリー制限を上回る特別な効果があるとは言いにくい」ということ、そして「続けやすさという点では、むしろ通常のカロリー制限より難しい可能性がある」ということです。

4. 5:2ダイエットも、カロリー制限と大差はない

1章で紹介した3つの方法のうち、次は5:2ダイエットなどの周期的断食を見てみましょう。この分野の基礎的なRCTとして、Harvieらによる2011年のInternational Journal of Obesity誌の研究があります[3]

過体重の女性107人を対象に、週2日を大幅にエネルギー制限する方法と、毎日のカロリー制限を6ヶ月間比較したところ、LDLコレステロール・中性脂肪・血圧などの改善は両群でほぼ同程度でした。空腹時インスリンとインスリン抵抗性(血糖値を下げるインスリンというホルモンの効きにくさ)の改善はどちらの群でも小幅にとどまりましたが、周期的断食群の方がやや大きい傾向が見られています。

11件のRCTをまとめた系統的レビュー(Cioffi et al., 2018)でも、周期的なエネルギー制限は毎日のカロリー制限と比べて、減量効果に統計的に意味のある差は見られていません[4]。5:2ダイエットについても、ADFと同様に「カロリー制限を上回る特別な優位性がある」とまでは言えなさそうです。

5. 時間制限食(TRE)も、同様の結果

最後に、時間制限食(TRE)についても見てみましょう。代表的な大規模RCTとして、Liuらによる2022年のNew England Journal of Medicine誌の研究があります[5]

肥満のある成人139人を、①午前8時〜午後4時の間だけ食事をする時間制限食+カロリー制限群、②カロリー制限のみの群、の2つに分けて12ヶ月間追跡した試験です。12ヶ月後の体重減少は時間制限食群で8.0kg、カロリー制限のみの群で6.3kgとなり、統計的に有意な差はありませんでした。体脂肪や代謝関連の指標についても、両群のあいだに意味のある差は見られていません。

ここまでの内容をまとめると、ADF・5:2・TREのいずれについても、「カロリー制限を上回る特別な優位性がある」という根拠は乏しいというのが、個別のRCTから見えてくる姿です。

6. 複数の試験をまとめた最新の大規模レビューでは

個々の試験だけでなく、複数の試験をまとめた最新の大規模レビューでも、似たような傾向が見えています。

Cochraneのレビュー(Garegnaniら、2026年)は、22件のRCT・合計1,995人分のデータをまとめ、通常の食事指導や特に何もしない場合と比べて、間欠的断食に「臨床的に意味のある減量効果は認められなかった」と結論づけています[6]。Cochrane自身も、含まれた試験が22件と限られていること、小規模な試験が多いことを課題として挙げており、「これで議論が完全に決着した」とまでは言えない状況です。

一方で、BMJに掲載されたネットワークメタ解析(2025年)(複数の治療法や方法を同時に比較できる、メタ解析の発展形)は、間欠的断食は継続的カロリー制限と「同程度の効果を持つという一定の根拠がある」と結論づけており、時間制限食(TRE)単体に限ると体重減少効果は「trivial(わずか)」と評価しています[7]。これは5章で見たLiuらのRCTの結果とも整合的です。なお、このBMJ論文の著者の一部には、食品・製糖業界からの資金提供や講演謝礼の開示情報があります。これは結果自体を否定するものではありませんが、フェアな情報として付け加えておきます。

この2つのレビューは、一見結論が違って見えます。採用した試験の選び方や、データのまとめ方の違いなどが結論の差につながっている可能性は考えられますが、はっきりした理由は両論文からは読み取れません。これはあくまで、方法論を踏まえたうえでの推測であり、断定はできない点にご留意ください。

7. なぜ「痩せる」というイメージが広まったのか

ここまで見てきた大規模レビューの結果と、SNSや書籍でよく語られる「間欠的断食で劇的に痩せる」というイメージのあいだには、ある程度のギャップがあります。

その理由の一つとして考えられるのは、初期に話題になった研究の多くが、数週間程度の短期・小規模な試験だったことです。実際、2024年に発表された、40歳以上の中高年・高齢の肥満者を対象としたレビュー(Journal of Nutrition, Health and Aging)でも、対象となった試験の多くが2〜6週間程度の短い期間にとどまっていました[8]。短期間・少人数の試験では効果が大きく見えやすく、長期・大規模な試験になるほど効果は控えめになる、という傾向は栄養の研究全般でしばしば指摘される話であり、間欠的断食に限った現象ではないかもしれません。

Cochraneレビューの著者であるGaregnani氏自身も、断食をめぐるSNS上の過熱した論調には注意が必要だとコメントを残しています[9]。研究で分かっていることと、メディア上のイメージのあいだにギャップがあることは、研究者の側でも意識されているようです。

8. 結局、どう考えればいいのか

ここまでの内容をふまえると、現時点で言えるのは、次のようなことにとどまります。

  • 間欠的断食という方法そのものに、カロリー制限を上回る代謝的なメリットがあるという強い根拠は、今のところ十分ではない
  • とはいえ、「食べる時間帯を区切る」というルールが、結果的に食べる量を減らす助けになる人は一定数いると考えられる
  • 隔日断食のように制約の強い方法は、脱落率の高さからもわかるように、続けやすさという点では万人向けとは言いにくい

これらを総合すると、間欠的断食は「特別な代謝効果を持つ魔法の方法」というよりも、「カロリー管理を実践するための、いくつかある手段の一つ」として捉えるのが、現状のエビデンスには近いと考えられます。これはあくまで、ここまでの研究結果をふまえた編集上の見方であり、個々の研究がそう直接結論づけているわけではない点を付け加えておきます。

大切なのは、「間欠的断食」という手法名にこだわることではなく、自分にとって無理なく続けられるカロリー管理の方法を見つけることではないでしょうか。この視点は、以前取り上げたリバウンド予防やチートデイ・ダイエットブレイクの話とも通じるところがあります。


関連記事:チートデイとダイエットブレイクの違いリバウンド予防(ACSMポジションステートメントより)行動変容ステージ(TTM)シリーズ

参考文献

  1. de Cabo R, Mattson MP. Effects of Intermittent Fasting on Health, Aging, and Disease. N Engl J Med. 2019;381(26):2541-2551.
    https://doi.org/10.1056/NEJMra1905136
  2. Trepanowski JF, Kroeger CM, Barnosky A, et al. Effect of Alternate-Day Fasting on Weight Loss, Weight Maintenance, and Cardioprotection Among Metabolically Healthy Obese Adults: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2017;177(7):930-938.
    https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2017.0936
  3. Harvie MN, Pegington M, Mattson MP, et al. The effects of intermittent or continuous energy restriction on weight loss and metabolic disease risk markers: a randomized trial in young overweight women. Int J Obes. 2011;35(5):714-727.
    https://doi.org/10.1038/ijo.2010.171
  4. Cioffi I, Evangelista A, Ponzo V, et al. Intermittent versus continuous energy restriction on weight loss and cardiometabolic outcomes: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Transl Med. 2018;16:371.
    https://doi.org/10.1186/s12967-018-1748-4
  5. Liu D, Huang Y, Huang C, et al. Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. N Engl J Med. 2022;386(16):1495-1504.
    https://doi.org/10.1056/NEJMoa2114833
  6. Garegnani LI, Franco JVA, Oyarzun DP, et al. Intermittent fasting for adults with overweight or obesity. Cochrane Database Syst Rev. 2026;2:CD015610.
    https://doi.org/10.1002/14651858.CD015610.pub2
  7. Semnani-Azad Z, Khan TA, Chiavaroli L, et al. Intermittent fasting strategies and their effects on body weight and other cardiometabolic risk factors: systematic review and network meta-analysis of randomised clinical trials. BMJ. 2025;389:e082007.
    https://doi.org/10.1136/bmj-2024-082007
  8. Yao K, Su H, Cui K, et al. Effectiveness of an intermittent fasting diet versus regular diet on fat loss in overweight and obese middle-aged and elderly people without metabolic disease: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Nutr Health Aging. 2024;28(3):100165.
    https://doi.org/10.1016/j.jnha.2024.100165
  9. Cochrane. Evidence behind intermittent fasting for weight loss fails to match hype. Cochrane News, 2026年2月.
    https://www.cochrane.org/about-us/news/evidence-behind-intermittent-fasting-weight-loss-fails-match-hype
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歯科医師・ブロガー
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