空腹感を抑える方法
「お腹がすいて、つい食べ過ぎてしまう」。ダイエット中は、誰でも一度はこの壁にぶつかります。
実はこのテーマ、すでにたくさんの研究で調べられています。今回は「本当に効果があるのか」を、研究の裏付けの強さ別に紹介します。
「研究でしっかり確認されている方法」の見分け方
1つの研究だけでは、たまたまの結果かもしれません。そこで役立つのが、複数の研究をまとめて評価する「メタ解析」という手法です。たくさんの研究結果を束ねることで、より信頼できる答えに近づけます。この記事では、そうした研究に基づいた情報を紹介します。
効果がしっかり確認されている6つの方法
① 毎食、タンパク質を意識してとる
肉・魚・卵・大豆製品などのタンパク質は、空腹感を抑え、満腹感を高めることが、49件の研究をまとめた分析でわかっています。体の中では、食欲を高めるホルモン(グレリン)が減り、満腹を知らせるホルモン(GLP-1・CCK)が増えるという変化も確認されています。
② よく噛んで、ゆっくり食べる
噛む回数を増やすと、実際に食べる量が減ることが複数の実験で示されています。反対に、早食いの人ほどメタボリックシンドロームになりやすいという関連も、研究のまとめでわかっています。
③ 食事の前に、野菜スープを飲む
60人を対象にした実験では、お昼ご飯の前に野菜スープを飲んだグループは、飲まなかったグループより、食事全体のカロリーが平均20%(約134kcal)少なくなりました。スープが胃の中でスペースを取り、消化がゆっくり進むためと考えられています。
④ 食事の前に、水をコップ2杯ほど飲む
肥満のある成人84人を対象にした12週間の実験では、食事の30分前に水を500ml飲んだグループは、飲まなかったグループより1.3kg多く体重が減りました。これは偶然ではなく、統計的にも意味のある差でした。別の12週間の実験でも、食前に1日3回水を飲んだグループは、飲まなかったグループより約2.3kg多く痩せています。水でお腹がふくらむと、脳に「満腹」の信号が早く届くことが理由の一つと考えられています。
なお、同じ「お腹をふくらませる」方法でも、スープは水と違って胃にとどまる時間が長く、消化のプロセスでホルモンを介した満腹信号も加わるため、より持続的な効果が期待されています。
⑤ 超加工食品を減らす
アメリカの国立衛生研究所が行った実験では、カロリーや栄養素をそろえた「超加工食」と「加工していない食事」を、それぞれ2週間ずつ、参加者に好きなだけ食べてもらいました。すると、超加工食を食べていた期間は1日あたり平均508kcalも多く食べてしまい、体重も2週間で約0.9kg増えていました。栄養素をそろえていたにもかかわらず差が出た、数少ない研究のひとつです。
⑥ お皿に盛る量を、少し減らす
14件の研究をまとめた分析では、盛り付ける量を少なくすると、多く盛った場合と比べて、1日の摂取カロリーが平均約235kcal少なくなることがわかりました。減らす量が多いほど、効果も大きくなる傾向があります。
ここまでの6つとは別に、「効果はありそうだが、条件次第」というものもあります。
効果はあるものの、条件によって変わる方法
食物繊維をとる
食物繊維は満腹感を高めるといわれますが、実際にはそこまで単純ではありません。44件の論文・107通りの試し方を調べた研究では、満腹感がはっきり高まったのは全体の39%、実際に食べる量が減ったのは22%にとどまりました。つまり、食物繊維をとれば必ず効果が出るわけではないということです。
ただし、種類によっては効果がくり返し確認されているものもあります。オーツ麦や大麦に含まれる「β-グルカン」、ライ麦、一部の豆類の繊維などです。「食物繊維なら何でも良い」ではなく、「効果が確認されている種類を選ぶ」ことがポイントです。
まだ根拠が乏しいもの:コーヒー・カフェイン
コーヒーやカフェインにも食欲を抑える効果が期待されがちですが、研究によって結果がバラバラで、「食欲を抑える」と言い切れる段階にはありません。
まとめ
ここで紹介した方法に共通しているのは、どれも「我慢」や「気合い」に頼らないという点です。
- 何を食べるか
- どう食べるか
- どれくらいの量を盛るか
こうした習慣を少し変えるだけで、無理なく食べる量をコントロールできることが、複数の研究からわかっています。
一度に全部やろうとしなくて大丈夫です。まずは1つ、今日の食事から試してみてください。
参考文献
- Al Khatib HK, et al. Effect of short- and long-term protein consumption on appetite. Physiology & Behavior, 2020.
- Effect of chewing behavior modification on food intake, appetite and satiety-related hormones: A Systematic Review, 2022.
- Association Between Eating Speed and Metabolic Syndrome: A Systematic Review and Meta-Analysis, 2021.
- Flood JE, Rolls BJ. Soup preloads in a variety of forms reduce meal energy intake. Appetite, 2007;49(3):626-34.
- Davy BM, et al. Water consumption increases weight loss during a hypocaloric diet intervention in middle-aged and older adults. Obesity, 2010.
- Parretti HM, et al. Efficacy of water preloading before main meals as a strategy for weight loss. Obesity, 2015.
- Hall KD, et al. Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain. Cell Metabolism, 2019;30(1):67-77.
- Robinson E, et al. Downsizing food: A systematic review and meta-analysis. British Journal of Nutrition, 2023.
- Clark MJ, Slavin JL. The effect of fiber on satiety and food intake: a systematic review. Journal of the American College of Nutrition, 2013;32(3):200-211.
- Schubert MM, Irwin C, Seay RF, Clarke HE, Allegro D, Desbrow B. Caffeine, coffee, and appetite control: a review. International Journal of Food Sciences and Nutrition, 2017.
