鶏むねと鶏もも肉、ダイエットに最適なのは?
ダイエットと聞くと必ず名前が上がる「鶏むね肉」ですが、「鶏もも肉」ではいけないのでしょうか?
この記事では、それぞれの栄養素と、高タンパク食に関する海外の研究を元に、どちらがダイエットにどう役立つのかを整理します。
どちらもダイエットに有効
結論を言うなら、むね肉ともも肉はどちらもダイエットに活用できる食材です。ただ、それぞれ特徴があります。
- むね肉:摂取カロリーを抑えやすい(低脂質で高タンパク)
- もも肉:満足感を保ちながら継続しやすい(適度な脂質で食べごたえがある)
「ダイエット=むね肉一択」というイメージが強いですが、脂質を完全に避けることが目的ではなく、総摂取カロリーと栄養バランスの両立が本質です。
後述しますが、むね肉かもも肉かより、皮を除く方がはるかに効果が大きいです。
成分データで比較した場合、それほど変わりはない
むね肉ともも肉の栄養素を100gあたり(皮無し)で比較してみます。
| 項目 | むね肉 | もも肉 |
|---|---|---|
| エネルギー | 105kcal | 113kcal |
| たんぱく質 | 23.3g | 19.0g |
| 脂質 | 1.9g | 5.0g |
| 鉄 | 0.3mg | 0.6mg |
| 亜鉛 | 0.7mg | 1.8mg |
| ビタミンB6 | 0.64mg | 0.31mg |
| ナイアシン当量 | 17.0mg | 9.5mg |
出典:文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表・八訂増補2023年)
むね肉はもも肉に比べて脂質が約1/3、たんぱく質は約1.2倍と若干優秀ですが、カロリーは100gあたり8kcalしか変わりません。
ダイエット効果が大きいのは皮を除くこと
むね肉ともも肉の皮の栄養素を100gあたりで見てみます。
| 項目 | むねの皮 | ももの皮 |
|---|---|---|
| エネルギー | 466kcal | 474kcal |
| たんぱく質 | 9.4g | 6.6g |
| 脂質 | 48.1g | 51.6g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表・八訂増補2023年)
肉と皮のエネルギー・脂質を比較すると、次のような倍率になります。
| エネルギー倍率(皮÷肉) | 脂質倍率(皮÷肉) | |
|---|---|---|
| むね | 約4.4倍 | 約25倍 |
| もも | 約4.2倍 | 約10倍 |
皮を剥がすだけでも、体感以上にカロリーカットにつながることがこの数値からわかります。
なぜ「高タンパク」がダイエットに有効とされるのか
高たんぱく食とダイエットの関係については、複数の系統的レビューで検証されています。
- 高たんぱく食は、脂質や炭水化物に比べて食事誘発性熱産生(食べること自体で消費されるエネルギー)が大きいことが、複数のRCTで一貫して報告されています(Halton & Hu, J Am Coll Nutr, 2004)。
- 同じレビューでは、高たんぱくの食事が満腹感を高め、その後の摂取エネルギーを減らす傾向があることも示されています。ただし、長期的な体重減少効果については研究間で一貫していない、とも指摘されています。
- 別の系統的レビュー(J Clin Diagn Res, 2022)では、高たんぱく食そのものが体重減少・満腹感に有意な効果を示さなかったと報告されています。ただし著者らは、体重減少の主因はあくまでエネルギー制限であり、高たんぱく食はその満腹感の面で補完的な役割を果たしうる、とも付言しています。
つまり、「たんぱく質を摂れば痩せる」のではなく「たんぱく質は摂取カロリーを管理しやすくする補助になる」というのが、両レビューを通じて一致する見方です。
むね肉が向いている人、もも肉が向いている人
むね肉が向いている人
- 総カロリーをできるだけ抑えたい人
- 高強度の運動や筋トレをしていて、タンパク質を稼ぎたい人
- ビタミンB6・ナイアシンを効率よく摂りたい人(糖質・脂質代謝の補助酵素)
欠点は加熱するとぱさつきやすい事で、調理の際に柔らかく工夫すると食べやすくなります。
もも肉が向いている人
- 脂質を極端に減らさなくても総カロリーを管理できる人
- 満足感を重視して、無理なく食事制限を続けたい人
- 鉄・亜鉛などのミネラルも意識したい人
もも肉はコラーゲンや脂肪が分散しているため加熱してもしっとりしやすく、煮込み・グリルなど幅広い調理に向きます。皮を外すだけで脂質を大幅にカットできるので、「もも肉=高カロリー」と決めつけず、皮の有無で選ぶのが実用的です。
まとめ
むね肉ともも肉の違いは「効果があるかないか」ではなく、脂質量とビタミンB群の含有量の差です。高たんぱく食が満腹感や食事誘発性熱産生を高めることは複数の研究で支持されています。
もう一つ押さえておきたいのは、部位選び以上に「皮を外すかどうか」が大きい点です。皮を除くだけでもカロリー・脂質は大きく下がり、その差は部位を選ぶことによる差よりもはるかに大きくなります。
個人的な見解ですが、ダイエットやトレーニングは続ける、習慣化することが一番大切なため、これから始めようと思っている人には皮無しもも肉をおすすめいたします。
参考文献・データ出典
- 文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
- 鶏むね 皮なし・生(食品番号11220):https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11220_7
- 鶏もも 皮なし・生(食品番号11224):https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11224_7
- 鶏皮 むね・生(食品番号11234):https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11234_7
- 鶏皮 もも・生(食品番号11235):https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11235_7
- Halton TL, Hu FB. The effects of high protein diets on thermogenesis, satiety and weight loss: a critical review. J Am Coll Nutr. 2004;23(5):373-385. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/07315724.2004.10719381
- Influence of Protein Diet on Weight Change in Obesity: A Systematic Review. J Clin Diagn Res. 2022. https://doaj.org/article/bfc5f16280604435bc3c51cea3cf96ed
