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部分痩せはできる?研究データで調べてみた

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むー

「お腹だけ」「二の腕だけ」を細くしたい。そう思ったことがある人は多いはずです。これは「部分痩せ」と呼ばれる考え方で、腹筋運動をすればお腹の脂肪が、腕を鍛えれば腕の脂肪が減る、という発想です。

今回は、この考え方が本当に正しいのか、2つの研究をもとに調べてみました。

結論

特定の場所を鍛えても、その場所の脂肪が優先して減るということは、今のところ確認されていません。

鍛えている場所の近くで脂肪が分解されやすくなるのは事実ですが、それがそのまま「見た目の脂肪の減少」にはつながらないのです。

脂肪を減らしたいなら、体全体で使うカロリーを、食べるカロリーより多くすることが一番の近道です。

部分痩せしない理由

運動をすると、動かしている筋肉の近くでは血の流れが良くなり、その周りの脂肪が分解されやすくなります。ここまでは事実です。この意味では、部分痩せには理屈の上での根拠があると思えます。

ただし、その場で脂肪が分解されても、すぐに使われなければ、また脂肪として蓄え直されてしまいます(これを「再エステル化」と呼びます)。

さらに、運動で実際に燃料として使われる脂肪酸は、体中の脂肪組織から血液に集まってきたものが混ざり合ったものです。鍛えている場所の近くにある脂肪酸だからといって、優先的に使われるわけではありません。

つまり、長期的にどの場所の脂肪が減っていくかは、鍛えた場所の近くかどうかよりも、全身的な調整で決まる部分が大きいのです。ここに、理屈と実際のデータのズレが生まれます。

部分痩せについて行われた研究

研究① 1,158人分のデータをまとめた解析

2022年、これまでの研究をまとめた大規模な解析が発表されました(Ramírez-Campillo et al., Human Movement誌)。

  • 対象:13件の研究、合計1,158人分のデータ
  • やり方:片方の腕や脚だけを鍛えて、鍛えていない反対側と比べた実験を集めて分析
  • 結果:37個の比較のうち、17個は鍛えた側で、20個は鍛えていない側のほうが脂肪が多く減っていました。つまりどちらが減りやすいかはバラバラで、はっきりした傾向はなかったということです。全体を平均すると、鍛えた側と鍛えていない側の差はほぼゼロでした。

データのばらつきも小さく、都合の良い結果だけが発表された可能性(出版バイアス)も見当たらなかったため、この結果はかなり信頼できると考えられます。

研究② 腕だけを12週間鍛えた実験

もう一つ、質の高い実験として知られているのが2007年の研究です(Kostek et al., Medicine & Science in Sports & Exercise誌)。この研究は、調べ方によって結果の見え方が変わるという、おもしろい特徴を持っています。

  • 対象:104人(男性45人、女性59人)
  • やり方:利き手ではない方の腕だけを、12週間トレーニング
  • 調べ方:皮膚をつまんで厚みを測る「キャリパー」という道具と、体の中まで見られる「MRI」という画像検査、両方で確認

結果は、調べ方によって割れました。キャリパーで測ると、男性では鍛えた腕だけ脂肪が減っていました(女性では差なし)。これだけ見ると「部分痩せが起きた」ように見えます。ところが、腕全体をしっかり見られるMRIで調べると、鍛えた腕と鍛えていない腕に差は見られませんでした(男女とも)。

研究者たちは、キャリパーは皮膚の1か所しか測れないため誤差が出やすく、腕全体を見られるMRIのほうが信頼できると説明しています。そのうえで、MRIで差が出なかったことから、本当の意味での部分痩せは起きていないと結論づけています。つまりこの研究は、「単に部分痩せがなかった」という単純な話ではなく、「ざっくりした測り方だと部分痩せに見えることがあるが、正確に測ると差が消える」ということを教えてくれる、興味深いデータなのです。

それでも「効いている気がする」のはなぜ?

「腹筋を鍛えたらお腹が引き締まった」と感じる人は多いと思います。これは、脂肪が優先的に減ったというより、次のような理由が考えられます。

  • 筋肉がついたり引き締まったりして、見た目の印象が変わっている可能性
  • 体全体の脂肪が減っていく過程で、たまたまその場所の脂肪も一緒に減っている可能性(脂肪が減りやすい場所には個人差があり、体質やホルモンで決まる部分が大きく、運動で狙って変えることはできません)

結局、どうすればいいのか

今のところ、特定の場所だけを狙って脂肪を落とす方法は見つかっていません。確実なのは、全身を使った有酸素運動と筋トレを組み合わせて、使うカロリーが食べるカロリーを上回る状態を作ることです。

1日の摂取カロリーと消費カロリーについては、こちらの記事でも紹介しています。

まとめ

「部分痩せ」は、鍛えた場所の近くで脂肪が分解されやすくなるという理屈こそあるものの、1,158人分のデータをまとめた解析でも、精密な実験でも、はっきりとは確認されていません。

特定の場所を細くしたいときも、結局は体全体の脂肪を減らすことが一番の近道です。

参考文献

  • Ramírez-Campillo R, Andrade DC, Clemente FM, Afonso J, Pérez-Castilla A, Gentil P. A proposed model to test the hypothesis of exercise-induced localized fat reduction (spot reduction), including a systematic review with meta-analysis. Hum Mov. 2022;23(3):1–14. doi:10.5114/hm.2022.110373
  • Kostek MA, Pescatello LS, Seip RL, Angelopoulos TJ, Clarkson PM, Gordon PM, et al. Subcutaneous fat alterations resulting from an upper-body resistance training program. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(7):1177–1185. doi:10.1249/mss.0b0138058a5cb
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歯科医師・ブロガー
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