ダイエット

酢ダイエットは効果ある?日本発の研究と世界のメタ分析から、体重・血糖・歯への影響を検証する

酢で楽しく健康ダイエット
むー

「お酢を毎日飲むと痩せる」。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

酢ダイエットとは、お酢を水などで薄めて毎日飲み、体重を減らそうとする方法です。お酢のおもな成分は「酢酸(さくさん)」で、この酢酸が体によい働きをするといわれています。

酢ダイエットの効果として、よく次の3つが挙げられます。

  • 内臓脂肪が減る
  • 血糖値が上がりにくい
  • 満腹感が続く

さらに2024年には、海外で「リンゴ酢を飲んで6〜8kg痩せた」という研究が発表され、大きな話題になりました。

これらは、本当なのでしょうか。この記事では、もとになった論文や国の資料を直接確認して、ひとつずつ検証します。

先に結論をお伝えします。小さな効果は示されているものの、期待されているほど大きくはない。これが、研究からわかったことです。

日本人を対象にした研究では何が示されたか

日本では、2009年に発表された次の研究があります。論文を書いた研究者たちは、「酢で体重や体脂肪が減ることを、日本人の肥満の人で初めて示した研究」だと述べています。

どんな研究か

参加したのは、BMIが25〜30の日本人175人です。BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算する肥満の目安で、日本では25以上が肥満とされます。身長170cmの人なら、体重がおよそ72〜87kgの範囲です。

参加者は、くじ引きのように無作為に3つのグループに分けられました(これを「ランダム化」といいます)。そして、次の飲み物を12週間、毎日飲みました。

  • 低用量グループ:リンゴ酢15mlが入った飲み物500ml
  • 高用量グループ:リンゴ酢30mlが入った飲み物500ml
  • プラセボグループ:酢が入っていない飲み物500ml

「プラセボ」とは、本物そっくりに作った、効果のない偽物のことです。この研究では、プラセボの飲み物にも乳酸を加えて、酢のような味にしていました。

さらに、参加者も研究者も、誰がどの飲み物を飲んでいるのか知らない状態で行われました。これを「二重盲検試験」といいます。「効きそう」という思い込みが結果に影響しないようにするための工夫です。

研究で使われた量とタイミング

どのグループも、500mlの飲み物を朝ごはんの後と夜ごはんの後に250mlずつ、2回に分けて飲みました。低用量グループの場合、1日にとった酢の量は15ml(大さじ1杯)です。

ただし、これは研究のときの条件です。「この量・このタイミングがおすすめ」という意味ではないので、注意してください。

結果

各グループの平均体重は、次のように変わりました。最後まで参加した155人の結果です。

開始時12週後飲むのをやめて4週後
プラセボグループ74.2kg74.6kg74.5kg
低用量グループ(酢15ml)74.9kg73.7kg74.9kg
高用量グループ(酢30ml)73.1kg71.2kg72.7kg

研究者たちは、酢を飲んだグループでは体重が1〜2kg減ったと報告しています。内臓脂肪と、血液中の脂肪の一種である中性脂肪も減っていました。

飲むのをやめると、体重はほぼ元に戻った

この研究では、12週間飲んだあと、4週間「飲まない期間」をつくって、体重がどうなるかも調べています。

その結果、飲むのをやめると、体重はほぼ元に戻りました。表を見ると、低用量グループは開始時とまったく同じ74.9kgに、高用量グループも開始時に近い72.7kgに戻っています。

なお、内臓脂肪は「飲み始め」と「12週後」の2回しか測っていません。飲むのをやめた後に内臓脂肪がどうなったかは、わかっていません。

読むときの注意点

この研究には、次のような注意点があります。

  • 研究したのは誰か:論文を書いた研究者は全員、お酢のメーカーであるミツカンの研究所に所属しています。
  • 誰が対象か:対象はBMIが25〜30の人です。普通の体型の人でも同じ効果があるかは、わかりません。
  • どの酢か:使われたのはリンゴ酢です。黒酢や米酢でも同じ結果になるかは、調べられていません。
  • 何人の結果か:参加した175人のうち、途中でやめた人などを除いた155人の結果です。

世界の研究をまとめると|効果は約1kg

では、世界中の研究をまとめると、どうなるのでしょうか。結論から言うと、日本の研究より少し小さい効果になります。

たくさんの研究をまとめた結果

いくつもの研究の結果をまとめて分析したものを、「メタ分析」といいます。2026年に発表された研究では、このメタ分析を10本集めて、さらにまとめて分析しました(「アンブレラレビュー」といいます)。

その結果、酢をとった人は、とらなかった人より、体重が平均で約1kg(1.06kg)多く減っていました。

一方、BMIとおなか周り(腹囲)では、「偶然とは言えない差」(有意差)は見つかりませんでした。体重は減ったのにBMIでは差が出ないのは、不思議に思えるかもしれません。研究者たちは、2つの分析で対象になった人が違うためだと説明しています。

この結果をどこまで信じてよいか

この結果には、次のような限界があります。

  • まとめられた試験の多くは、研究の質が低いと評価されています。
  • 酢だけでなく、ほかの成分(メギという植物)を加えた試験も、一緒にまとめられています。
  • 参加者の特徴で分けて見ると、体重が減っていたのは、2型糖尿病の人や、BMIが高めの人たちでした。
  • どの試験も、長くて12週間です。それより長く飲み続けたときの効果や安全性は、わかっていません。

「リンゴ酢で6〜8kg減」の研究は撤回された

記事のはじめに紹介した、2024年に話題になった「リンゴ酢を飲んで6〜8kg痩せた」という研究は、2025年9月23日に撤回されました。撤回とは、問題が見つかった論文を、掲載した学術誌が正式に取り消すことです。

統計の計算方法、ありえない数値、もとのデータが信頼できるかどうかなどに問題が見つかり、研究者本人たちも同意したうえで撤回されました。今は、根拠として使えない研究です。

「血糖値が上がりにくい」は本当か

酢ダイエットでよく言われるのが、「酢をとると血糖値が上がりにくくなる」ということです。

研究結果

健康な人12人が参加した研究では、パンと一緒に酢をとると、酢の量が多いほど、食後の血糖値とインスリンの上がり方がゆるやかになりました。インスリンとは、血糖値を下げる働きをするホルモンです。いちばん多い量の酢をとったときは、食後30〜45分の血糖値が低くなっていました。

読むときの注意点

ただし、次の点に気をつける必要があります。

  • 効果は一時的:食後2時間(120分)全体で見ると、酢をとらなかったときと差はありませんでした。
  • 小さな研究:参加したのは健康な人12人だけで、1回の食事で調べた研究です。
  • 痩せるかどうかは別の話:食後の血糖値の上がり方がゆるやかになっても、それで痩せるとは限りません。

血糖値と食欲の関係は、こちらの記事でくわしく解説しています。

甘いものを食べると余計にお腹が空くのはなぜ?血糖値との関係と食べ方の工夫

「満腹感が続く」の正体

先ほどの血糖値の研究では、酢の量が多いほど、満腹感も高くなっていました。これが「酢を飲むとお腹がいっぱいになる」という話の根拠のひとつです。

満腹感の正体は「気持ち悪さ」だった可能性

ところが、この話を確かめた別の研究では、意外な結果が出ています。

この研究でも、酢をとると食欲は確かに下がりました。しかしその理由は、おもに酢が飲みにくくて、気持ち悪くなった(吐き気)からだと結論づけられています。研究者たちは、「酢を自然な食欲おさえとしてすすめるのは適切ではない」と述べています。

ただし、この研究に参加したのは普通の体型の若い人16人で、1回の食事で調べた研究です。

空腹感をおさえたいなら

研究で効果が確かめられている空腹感のおさえ方は、こちらの記事で紹介しています。

空腹感を抑える方法

お酢の主成分・酢酸で国が許可した表示は「血圧」だけ

では、国は酢の効果をどのように扱っているのでしょうか。

「特定保健用食品(トクホ)」という制度があります。国が商品ごとに効果と安全性を審査して、「〇〇に役立ちます」といった健康についての表示を許可する制度です。

消費者庁のトクホの一覧(令和8年9月1日時点)を確認しました。すると、酢酸を効果のもとになる成分(関与成分)とするトクホは、2品目だけでした。そして、どちらも表示は「血圧が高めの方に適した食品」です。

体重や体脂肪について表示が許可された、酢酸のトクホはありません。

飲む前に知っておきたい、歯と体への注意点

最後に、酢を毎日飲むときに知っておきたい注意点を紹介します。

歯への影響

酢大さじ2杯をコップ1杯の水で薄めた飲み物を、1日2回、8週間飲んでもらったランダム化試験があります。比べるためのグループには、酢がほとんど入っていない錠剤を飲んでもらいました。

歯が酸で溶ける「酸蝕(さんしょく)」の程度を、国際的な基準で調べました。すると、錠剤のグループでは変化がなかった一方で、酢を飲んだグループでは酸蝕の指標が18%上がっていました。論文の要約(抄録)によると、歯を調べた歯科衛生士は、誰がどちらのグループか知らされていませんでした。

なお、この研究で飲んだ酢の量は、最初に紹介した日本の研究より多めです。ただし、「量が少なければ安全」ということも、わかっていません。

この研究には、次のような限界もあります。

  • 短い報告の論文であること
  • 期間が8週間と短いこと
  • 比べるためのグループは、歯に触れない錠剤だったこと
  • 歯を調べた歯科衛生士は論文を書いた一人で、研究の運営にも関わっていたこと

体への注意

酢酸のトクホ商品の注意書きには、次のようなことが書かれています。

  • お腹がすいているときに飲むと、刺激を強く感じることがある
  • 胃潰瘍や肝臓の病気などがある人や、飲む前後に薬を飲む人は、医師に相談すること

また、最初に紹介した日本の研究では、酢で胸やけを起こす人は、はじめから参加者に入っていませんでした。研究の結果が、すべての人に当てはまるわけではありません。

歯科医師としての見解

ここからは研究結果ではなく、歯科医師としての私の考えです。

上の研究では、酢を水で薄めて飲んでいました。それでも歯に影響が出ていたので、薄めても歯が溶ける可能性はあると考えています。

酢を飲むなら、薄めるだけでなく、次のことも一緒に心がけるのがおすすめです。

  • だらだらと時間をかけて飲まない
  • 飲んだ後は、水で口をすすぐ

まとめ

酢ダイエットについて、研究からわかったことをまとめます。

  • 日本の研究では、酢を12週間飲み続けると、体重が1〜2kg減り、内臓脂肪も減りました。世界の研究をまとめると、酢をとらなかった人より体重が約1kg多く減る程度でした。BMIとおなか周りでは差がはっきりせず、研究の質にも限界があります。
  • 日本の研究では、飲むのをやめると、体重はほぼ元に戻りました。また、12週間より長く飲み続けたときの効果や安全性は、わかっていません。
  • 血糖値への効果は一時的です。満腹感には、酢による気持ち悪さ(吐き気)が関係している可能性があります。
  • 国が審査して許可した酢酸の表示は、血圧についてのものだけです。
  • 試すなら、歯への影響に気をつけましょう。胃や肝臓に病気がある人、薬を飲んでいる人は、医師に相談してください。

「やめると元に戻る」という結果から考えると、ダイエットでは続けられる方法を選ぶことが大切だといえそうです。減らした体重を保つために必要なことは、こちらの記事で紹介しています。

リバウンドを防ぐには?ACSM(米国スポーツ医学会)の一次資料から見る「体重維持」に必要な運動量

参考文献

  1. Kondo T, Kishi M, Fushimi T, Ugajin S, Kaga T. Vinegar intake reduces body weight, body fat mass, and serum triglyceride levels in obese Japanese subjects. Biosci Biotechnol Biochem. 2009;73(8):1837-1843.:J-STAGE
  2. Shahmohammadi F, Amiri Khosroshahi R, Derakhshanian H, Mohammadi H. Vinegar consumption and health: an umbrella review of meta-analyses of randomized controlled trials. Food Sci Nutr. 2026;14(5):e71849.:DOI
  3. Abou-Khalil R, Andary J, El-Hayek E. Apple cider vinegar for weight management in Lebanese adolescents and young adults with overweight and obesity: a randomised, double-blind, placebo-controlled study. BMJ Nutr Prev Health. 2024;7:61-67.(2025年9月23日撤回):DOI・撤回通知
  4. BMJ Group「BMJ Group retracts trial on apple cider vinegar and weight loss」(2025年9月25日):BMJ Group
  5. Östman E, Granfeldt Y, Persson L, Björck I. Vinegar supplementation lowers glucose and insulin responses and increases satiety after a bread meal in healthy subjects. Eur J Clin Nutr. 2005;59:983-988.:Nature
  6. Darzi J, Frost GS, Montaser R, Yap J, Robertson MD. Influence of the tolerability of vinegar as an oral source of short-chain fatty acids on appetite control and food intake. Int J Obes. 2014;38:675-681.:DOI
  7. 消費者庁「特定保健用食品許可(承認)品目一覧」(令和8年9月1日時点):消費者庁
  8. Anderson S, Gonzalez LA, Jasbi P, Johnston CS. Evidence that daily vinegar ingestion may contribute to erosive tooth wear in adults. J Med Food. 2021;24(8):894-896.(抄録を参照):PubMed

内部リンク:甘いものを食べると余計にお腹が空くのはなぜ?血糖値との関係と食べ方の工夫/空腹感を抑える方法/リバウンドを防ぐには?ACSM(米国スポーツ医学会)の一次資料から見る「体重維持」に必要な運動量

ABOUT ME
むー
むー
歯科医師・ブロガー
生活に寄り添って、豊かな生活が送れるような情報を発信しようとブログ運営をしております。できるだけ正確で役にたつ情報を、かんたんに便利に使えるように模索しています。
記事URLをコピーしました