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食事の回数は1日何回がベストか?最新のエビデンスから解説

食事タイムライン比較インフォグラフィック
むー

「1日3食」は、多くの人にとって当たり前のリズムになっています。でもこれは、体のしくみとして決まっているわけではなく、歴史的・社会的な習慣として定着してきたものです。医学的に「何食が正解」と決まっているわけではありません。

以前の記事「食べる時間帯はダイエットに影響するのか」では、「いつ食べるか」について取り上げましたが、そのとき「1日に何回食べるか」というテーマはあえて扱いませんでした。今回はその残った疑問、「食事の回数」について、最新の研究をもとに見ていきます。

シンプルに比べると、実は差が出ない

食事の回数についてもっとも直接的に調べたのが、2023年に発表された研究です。Blazeyさんたちの研究チームは、ランダム化比較試験(対象者をくじ引きのようにグループ分けして比べる、信頼性の高い実験方法)16件を集めて比較しました[1]結果は、食事が少ない人たち(1日3食以下)と多い人たち(1日4食以上)で、体重の差はほとんど見られませんでした。ただしこの結果自体、対象になった試験数が少なく、研究の質を評価する国際的な基準でも「確からしさが非常に低い」と評価されており、「差がないとはっきり言える」というより「まだ自信を持って言えるだけのデータが揃っていない」という段階のものです。

条件を揃えると、少し違う結果が見えてくる

一方で、もっと条件を厳密に揃えた研究では、少し違う結果が出ています。

2020年にAdvances in Nutrition誌に発表されたSchwingshacklさんたちの研究は、同じく事前に計画を登録し、決まった手順で行われました[2]。この研究の特徴は、すべての対象試験で「1日の総カロリー」をぴったり揃えた上で、回数だけを変えていることです。先ほどのBlazeyさんたちの研究では、カロリーが揃っていない試験も混ざっていましたが、こちらはその点がきちんとコントロールされています。

対象は22試験・647人。「ネットワークメタ解析」という、複数の頻度(1食・2食・3食・6食・8食以上)を一度に比べられる手法が使われています。

結果をまとめると、こうなります。

  • 1日2食は、3食や6食に比べて、体重が少し減りやすいという結果が出ています(3食との差は-1.02kg、6食との差は-1.29kg)。この結果は「そこそこ確からしい(中程度の確実性)」と評価されています
  • 実は、比較のランキングでもっとも良い成績だったのは1日1食でした。ただし1食と8食以上を比べた結果は、統計的にはっきりした差とは言えず、「確からしさが非常に低い」評価にとどまっています
  • お腹まわりのサイズ(ウエスト周囲径)でも、2食は6食よりも良い結果でした。こちらもランキングで最も良い成績です

まとめると、「2食が3食・6食よりやや良い」という部分は、そこそこ自信を持って言える結果です。一方、「1食がいちばん良い」という部分は、まだ確信を持てるほどのデータではありません。「食事の回数が少ないほうがやや有利」という方向性自体は、いくつもの比較で共通して見られていますが、「では具体的に何食がベストか」までは、まだ絞り込めていない、というのが正確なところです。

BlazeyさんたちとSchwingshacklさんたちで結果が違って見えるのは、単純な食い違いというより、「1日の総カロリーをきちんと揃えているかどうか」という条件の違いによるところが大きいと考えられます。回数だけをざっくり比べても差は出にくいけれど、カロリーという1番大きな影響要因を揃えた上で比べると、わずかな差が見えてくる、という理解の方が実態に近そうです。

この傾向を後押しする、もうひとつのデータ

2024年にJAMA Network Open誌に発表されたLiuさんたちの研究は、食事のタイミング全般を扱ったもので、その中に食事回数について調べた部分も含まれています[3]

この部分では8試験を対象に、回数が少ないほうが体重で-1.85kg有利という結果が出ました。方向性としては、ここまで見てきた「回数が少ないほうがやや有利」という傾向と一致しています。ただし、統計的な差の範囲(信頼区間)が「差なし」にかなり近いところまで来ており、これ単独で強い根拠として扱うにはやや心もとない数値です。あくまで、これまでの傾向を弱く後押しするデータ、として捉えるのが妥当でしょう。

なお、同じLiuさんたちの論文は、前回の「食べる時間帯」の記事でも取り上げています。ただしそちらで扱ったのは「カロリーを1日の早い時間帯に多く配分する」という、また別の部分です。参考までに、そちらの部分は対象試験がすべて女性だけを対象にしたもので、確からしさも「低い」と評価されています。同じ論文を扱う記事として、両方に共通する留保があることは知っておいて良いと思います。

この分野は、もともとどう評価されてきたか

食事の回数というテーマ全体を見渡したとき、専門家の間ではどう評価されてきたのかにも触れておきます。

北欧諸国が共同でまとめている公式の栄養ガイドラインの策定過程で、食事のパターン全般(回数だけでなく、間食・タイミング・断食なども含む)について、これまでの研究をまとめて評価するレビューが行われました[4]。このとき対象になった、食事回数に関する7つのレビューは、いずれも研究の質を評価する基準で「著しく低い」と判定され、「食事パターンについて、これといった推奨を出せるだけの一貫した結果は見当たらなかった」と結論づけられています。

ただし、ここで見落としてはいけないのは、この評価がもとにしたのは、ここまで紹介してきたBlazeyさんたちやSchwingshacklさんたちの研究が登場する前の、もっと質の低い研究群だったという点です。つまり「専門家の間で今も意見がまとまっていない」という現在進行形の話ではなく、「もともとこの分野は研究が少なく、はっきりしたことが言えなかった。そこに近年、質の高い研究がようやく出てきた」という、この分野の歴史の一場面として理解するのが正確です。

結論:回数より大事なこと

ここまで見てきた研究をまとめると、「1日に何回食べるべきか」という問いに対する、現時点でいちばん誠実な答えはこうなります。「回数による差は、あったとしても大きくはないけれど、条件をきちんと揃えた研究ほど、回数が少ない方(特に2食)がわずかに有利、という結果がそこそこの自信を持って示されている」。ただし、「では具体的に何食がベストか」という細かい部分(1食が本当に一番良いのかなど)は、まだはっきりしていません。

その上で、実際に大事なのは、回数そのものよりも次の2つだと考えられます。

  • 1日トータルのカロリー収支:何回に分けようと、1日に摂るカロリーが消費するカロリーを上回るか下回るかというバランスが、体重変化の中心的な決め手であることは、今回紹介したどの研究でも前提になっています
  • 続けやすさ:1食が合うか、3食が合うか、6食が合うかは、お腹の空き具合や生活リズム、仕事のスケジュールによって、人それぞれ差が大きいところです。研究で示された「2食がわずかに有利」という結果も、あくまで大勢の平均としての傾向であり、それが自分に当てはまるかどうかは、実際に続けられるかどうかで判断するのが現実的です

「絶対に正しい回数」を探すよりも、無理なく続けられる形を選ぶ方が、今のエビデンスとも矛盾しない、現実的な考え方と言えるでしょう。

この記事で紹介した研究の限界

最後に、今回参照した個々の研究が抱える限界にも触れておきます。

  • Blazeyさんたちの研究は、体重の比較に使われた試験がわずか8件・279人にとどまり、信頼できる結論を出すために推奨される人数を下回っています
  • Schwingshacklさんたちの研究は、カロリーを厳密に揃えている分、実験としての精度は高いのですが、その分、日常生活の中でそのまま同じ結果が再現できるかどうかは、また別に確かめる必要があります
  • Liuさんたちの回数についてのデータは、統計的な差の範囲が「差なし」にかなり近く、追加の後押しとしては役立ちますが、単独の根拠としては心もとないものです
  • 北欧のスコーピングレビューは、食事回数以外の要素(間食・タイミング・断食)も含めた評価であり、回数だけに絞った評価ではありません

どの研究も、まだ発展途中にあるこの分野のひとつの到達点です。今後さらに質の高い研究が積み重なることで、もっとはっきりした答えが見えてくる可能性があります。


参考文献

  1. Blazey P, Habibi A, Hassen N, Friedman D, Khan KM, Ardern CL. The effects of eating frequency on changes in body composition and cardiometabolic health in adults: a systematic review with meta-analysis of randomized trials. Int J Behav Nutr Phys Act. 2023;20(1):133. doi:10.1186/s12966-023-01532-z
  2. Schwingshackl L, Nitschke K, Zähringer J, Bischoff K, Lohner S, Torbahn G, Schlesinger S, Schmucker C, Meerpohl JJ. Impact of Meal Frequency on Anthropometric Outcomes: A Systematic Review and Network Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Adv Nutr. 2020;11(5):1108-1122. doi:10.1093/advances/nmaa056
  3. Liu HY, Eso AA, Cook N, O’Neill HM, Albarqouni L. Meal Timing and Anthropometric and Metabolic Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Netw Open. 2024;7(11):e2442163. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.42163
  4. Svendsen M, Bertéus Forslund H. Meal patterns, including intermittent fasting – a scoping review for Nordic Nutrition Recommendations 2023. Food Nutr Res. 2024;68. doi:10.29219/fnr.v68.10505
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歯科医師・ブロガー
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