ダイエット

食べ過ぎてしまう食品の特徴とは?

ジャンクフードを思い浮かべる青年
むー

ポテトチップスの袋を開けたら、気づいたら空になっていた。アイスクリームを一口だけのつもりが、最後まで食べてしまった。こういう経験、ありませんか?

「意志が弱いから」と思われがちですが、実は食品そのものの作られ方に理由があるかもしれません。

最近、栄養の研究と依存症の研究、両方の分野で「食べ過ぎてしまう食品には共通の特徴がある」ということが分かってきました。この記事では、信頼できる研究をもとに、

  • どんな食べ物が食べ過ぎてしまうのか
  • 「依存性のある物質」と呼んでいいのか

をわかりやすく説明します。

先にお伝えしておくと、「食べ物にも薬物のような依存性がある」という考え方については、専門家の間でも意見が分かれています。この記事では、賛成の立場・慎重な立場、両方の研究を紹介します。

食べ過ぎてしまう食品は「組み合わせ」

2019年、カンザス大学のFazzinoさんたちのチームが、それまで「ファストフード」「お菓子」というあいまいな言葉でしか呼ばれていなかった「食べ過ぎてしまう食品」を、初めて数字ではっきり定義しました。

いろいろな研究を集めて分析した結果、食べ過ぎてしまう食品は次の3つのパターンに分けられることが分かりました。

  • 脂肪+塩分:脂肪のカロリーが全体の25%より多く、塩分も一定以上(例:ベーコン、ピザ)
  • 脂肪+糖:脂肪のカロリーも糖のカロリーもどちらも全体の20%より多い(例:チョコレート、アイスクリーム)
  • 炭水化物+塩分:炭水化物のカロリーが全体の40%より多く、塩分も一定以上(例:プレッツェル、菓子パン)

この基準をアメリカの食品データ(7,757品目)に当てはめてみると、なんと62%(4,795品目)がこのどれかに当てはまりました。

さらに驚くのは、「低脂肪」「低カロリー」と書かれている食品443品目のうち、49%(216品目)もこの基準に当てはまっていたことです。パッケージに「ヘルシー」と書いてあっても、油断はできないということですね。

また、脂肪と塩分を組み合わせると、食べる量が最大で30%も増えるという実験結果も報告されています。ポイントは「単独の成分」ではなく「組み合わせ」だということです。

お金を払ってでも欲しくなる

イェール大学などのチームによる2018年の研究では、カロリー・食べ慣れている度合い・好きな度合いをすべて同じくらいに揃えた上で、①脂肪だけの食品、②糖だけの食品、③脂肪+糖の食品、という3種類の写真を用意しました。20人の参加者に、お腹を空かせた状態で脳の検査(fMRI)を受けてもらいながら、それぞれの食品に「いくらまでなら払うか」を答えてもらいました。

その結果、参加者は脂肪だけ・糖だけの食品よりも、脂肪+糖の食品に、統計的にはっきりと高い金額をつけたのです。

さらに大事なのは、この効果が単純な「足し算」以上だったことです。脂肪だけの効果と糖だけの効果を足し合わせた予想額よりも、実際の脂肪+糖への金額の方が、はっきりと高くなっていました。研究チームはこれを「かけ算のように効果が増える」現象と呼んでいます。

「好きだから高い値段をつけただけでは?」という疑問にも対応するため、好きな度合いが同じくらいになるよう食品を選び直して、もう一度分析しています。それでも、脂肪+糖への金額が高いという結果は変わりませんでした。つまり、「ただ美味しいから」ではなく、脂肪と糖の組み合わせそのものが、脳の「欲しい」という気持ちを強めている可能性が高いのです。

実際、脳の中でも「線条体」と呼ばれる部分の働きが、この金額の高さと強く関係していました。この部分は、行動が「目的があってやること」から「なんとなくクセでやってしまうこと」に変わっていく過程に関わっていて、依存症の研究でもよく出てくる場所です。

参考:実は自然界にはほとんどない組み合わせ

イェール大学などのチームによる2018年の研究では、もう一つ面白いことが指摘されています。脂肪と炭水化物が高い濃度で同時に入っている食品は、自然界にはほとんど存在しないということです。母乳でさえ、脂肪は約3.5%、炭水化物は約7%くらいしかありません。一方、普通の加工されたスナック菓子は、脂肪が約24%、炭水化物が約57%にもなります。

人間の体は、進化の過程でこういう組み合わせに対する「ブレーキ」を十分に持っていないのかもしれません。

「依存性のある物質」と呼んでいいのか

ここまでの研究をふまえて、2023年にGearhardtさんとDiFeliceantonioさんが、ある論文を発表しました。1988年、アメリカ政府がタバコを「依存性のある物質」と認めたときに使った3つの基準を、加工食品に当てはめて考える、という内容です。

  • 自分でコントロールしにくい使い方をしてしまうか
  • 脳に働きかけて気分を変える効果があるか
  • 行動を強めるはたらきがあるか

この論文では、ポテトチップス・クッキー・アイスクリーム・フライドポテトのような加工食品は、この3つの基準にどれも当てはまりうる、と論じています。

なお、こうした理論的な枠組みに対しては、2018年の時点ですでにFletcherさんとKennyさんが、人間における食べ物の依存に関する薬の効き方の証拠は、すでに知られている依存性薬物ほどはっきりしていない、と指摘していました。

さらに2024年に発表されたある研究(まだ正式な査読を通っていない段階のもの)では、50人の大人に脂肪と糖の多いミルクシェイクを飲んでもらい、依存性薬物を調べるときと同じ方法で脳の反応を測りました。ところが、統計的にはっきりした反応は見つかりませんでした。体重との関係も見られず、すでに知られている依存性薬物と比べると、反応はかなり小さいかもしれない、という結論になっています。前に紹介した2018年の研究とは調べ方も指標も違うので、単純に「矛盾している」とは言えませんが、「まだ決着はついていない」ことがよく分かる結果です。

また、GearhardtさんとHebebrandさん自身も、2021年の論文で「食べ物依存」という考え方そのものに慎重な立場を示していますし、そもそも正式な病名としては存在していません。

まとめ

ここまでの内容を整理すると、次のようになります。

  • 食べ過ぎてしまう食品には、脂肪・糖・塩分の「組み合わせ」という、数字で示せる共通の特徴がある
  • 脂肪と炭水化物の組み合わせは、脳の「欲しい」という気持ちをかけ算のように強める可能性がある
  • タバコの依存性の基準を当てはめると、加工食品もこの基準に当てはまるという考え方もあるが、薬物と同じレベルの証拠がそろっているとは言えず、慎重な立場の研究も多い

「食べすぎるのは意志が弱いから」という考え方は、少なくとも科学的には正しいとは言えなさそうです。かといって「食べ物は薬物とまったく同じ」と言い切るのも、言いすぎになってしまいます。大切なのは、「もう一口」と手が伸びてしまう食品を知ったうえで、自分の食生活と付き合っていくことではないでしょうか。

参考文献

  1. Fazzino, T. L., Rohde, K., & Sullivan, D. K. (2019). Hyper-Palatable Foods: Development of a Quantitative Definition and Application to the US Food System Database. Obesity, 27(11), 1761-1768.
  2. DiFeliceantonio, A. G., Coppin, G., Rigoux, L., Thanarajah, S. E., Dagher, A., Tittgemeyer, M., & Small, D. M. (2018). Supra-Additive Effects of Combining Fat and Carbohydrate on Food Reward. Cell Metabolism, 28(1), 33-44.
  3. Gearhardt, A. N., & DiFeliceantonio, A. G. (2023). Highly processed foods can be considered addictive substances based on established scientific criteria. Addiction, 118(4), 589-598.
  4. Fletcher, P. C., & Kenny, P. J. (2018). Food addiction: a valid concept? Neuropsychopharmacology, 43(13), 2506-2513.
  5. Hebebrand, J., & Gearhardt, A. N. (2021). The concept of ‘food addiction’ helps inform the understanding of overeating and obesity: NO. American Journal of Clinical Nutrition, 113(2), 268-273.
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むー
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歯科医師・ブロガー
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