ダイエットの習慣化に必要な5つのこと
ダイエットは継続が一番大切です。
では、継続させるために、どんなことに気をつければ良いのでしょうか?
習慣化に必要な5つのこと
小さく始める
最初から大きな目標を掲げるのではなく、小さな目標から取り組むことです。
Lally et al. (2010, European Journal of Social Psychology)の実験では、毎日の特定の行動が自動化(意識して頑張らなくても、勝手に体が動くようになる状態)するまでにかかった期間を調べています。
自動化にかかる時間は18日〜254日と個人差が大きく、時間がかかることが分かりました。
つまり、毎日高い目標を掲げると、自動化するまでの長い期間を意志力で頑張らなければならなず、挫折しやすいのです。
逆に言えば、小さな目標(例:毎日5分だけ歩く)なら意志力に頼らずに脳内で自動化が進んでいきます。
自動化までの長い期間を乗り切るために、意志力に頼らない小さな行動から始めるのが現実的だと考えられます。
間食を取りに行きにくい場所に置く
離れた場所に置くなど、間食は手に取りにくくしたほうが食べる量は少なくなります。
食べ物の物理的な距離を変えた複数の研究(Maas et al., 2012; Hunter et al., 2018)では、不健康な間食を20cm→70〜140cmと遠ざけることで、頭が疲れている時も疲れていない時も同じように、食べる確率や量が減少することがわかりました。
この効果の大きさにはばらつきがあり、必ずしも毎回明確に出るわけではありませんが、複数の研究で確認されている傾向です。
つまり、意志力に頼るより、そもそも手に取りにくくする方が現実的と示しています。
しかし、同じ研究チームで健康食品(レーズン)を近くに置くだけで摂取量が増えるかは、距離の影響を受けませんでした。
この方法は健康的なものを近づけるというより、不健康なものを遠ざける方針に使える方法です。
もし〇〇が起きたら△△する
「もし〇〇が起きたら、行動△△をする」という具体的な計画を事前に立てることです。
Gollwitzer, P.M., & Sheeran, P. (2006).のメタ分析では、同じテーマで調べた94件の様々な実験を統合させ、どのくらい効果があるのかを調べています。
その結果は、「もし〇〇が起きたら、行動△△をする」というプランを立てたグループは、単に「やる気」だけで臨んだグループより目標達成率が高く、その効果量はd = 0.65(心理学研究では中〜大程度の効果とされる水準)でした。
何故このような結果になったかというと、
1,気づきやすい⋯〇〇が起きた時に、△△を思い出す様になるため、忘れにくい
2,半自動化⋯何をするか決めておくことで、行動する際に考えなくても済む
という理由があります。
使い方としては、「もしコーヒーを淹れたらその間スクワット10回する」や「もし夕食後に甘い物が食べたくなったらお茶を飲む」などでしょうか
この方法はダイエットのみではなく、他の目標達成にも使える方法です。
記録する
記録して見える化する人ほど減量幅が大きいことが分かっています。
Burke, L.E., Wang, J., & Sevick, M.A. (2011). のシステマティックレビューでは、1993〜2009年に発表された22件の研究(食事記録14件、運動記録1件、体重測定6件)を統合した結果、「自己モニタリングの頻度が高い人ほど減量幅が大きい」という関連が、研究全体で一貫して見られました。
毎日体重計に乗るなどがこれに当たります。
この方法で注意したい点があります。それは、メカニズム面は明確に実証されているわけでは無いことです。
つまり、もしかしたら
・元々やる気のある人ほど記録しているので減量にも成功しやすい
・順調に痩せている人ほど記録を続けやすい
という要因があるかも知れません。
ただ、記録する事で見える化し、意識するようにはなると思いますし、食事記録をもれなく記載すれば自分の食生活の気づきにもなると思います。
完璧を求めない
現実的な目標設定を行い、失敗した場合はできるだけ早く軌道修正することが大切ということです。
心理学者Janet PolivyとC. Peter Hermanが提唱した「食事制限の境界モデル(boundary model)」では、人には元々、これ以上食べたくないという満腹の限界ラインがあるが、その生理的な限界よりずっと手前に、自分でルール上の「ここまでしか食べない」という心理的な境界線を引く場合、その境界線は破られやすく、本来の生理的な限界まで、あるいはそれを超えて食べ続けてしまうというものです。
実際に、こうした「オールオアナッシング思考」は、ダイエットの取り組みを完全に放棄してしまうことの頑健な予測因子であることが、実証研究でも確認されています。
つまり、どうせ失敗したんだからどうにでもなれの精神です。
また、CDC(米国疾病予防管理センター)公式ガイドラインでは、非現実的な目標(短期間での大幅減量など)は、挫折感やフラストレーションにつながりやすいと明記されていますし、「時々の失敗は起こるもので、想定内のこと」とも記載されています。
つまりこの2つの事実から、非現実的な目標は達成できないため、現実的な目標を設定したうえで、「失敗」を「失敗」と思わず、できるだけ早く軌道修正し、同様の状況を防ぐ方法を考えることが大切ということです。
まとめ
ダイエットににおいて、続けることが大切です。
意志力のみに頼るのではなく、仕組みや考え方を変え、自分にできる範囲の事をすることが大切ということです。
無理せず、先ずは行動を続けることを考えましょう。
参考文献
Lally, P., van Jaarsveld, C.H.M., Potts, H.W.W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998-1009. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ejsp.674
Maas, J., de Ridder, D.T.D., de Vet, E., & de Wit, J.B.F. (2012). Do distant foods decrease intake? The effect of food accessibility on consumption. Psychology & Health, 27(Suppl. 2), 59-73. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21678172/
Hunter, J.A., Hollands, G.J., Couturier, D.L., & Marteau, T.M. (2018). Effect of snack-food proximity on intake in general population samples with higher and lower cognitive resource. Appetite, 121, 337-347. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29183701/
Gollwitzer, P.M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69-119. https://www.sciencedirect.com/science/chapter/bookseries/abs/pii/S0065260106380021
Burke, L.E., Wang, J., & Sevick, M.A. (2011). Self-Monitoring in Weight Loss: A Systematic Review of the Literature. Journal of the American Dietetic Association, 111(1), 92-102. https://www.jandonline.org/article/s0002-8223(10)01644-5/abstract
Hollis, J.F., Gullion, C.M., Stevens, V.J., et al. (2008). Weight loss during the intensive intervention phase of the weight-loss maintenance trial. American Journal of Preventive Medicine, 35(2), 118-126. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18617080/
Risk factors for momentary loss of control and subsequent abandonment of self-devised dietary restraint plans in adults with weight-loss goals. Psychology & Health (2022). https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/08870446.2022.2094929
CDC. Steps for Losing Weight. Healthy Weight and Growth. https://www.cdc.gov/healthy-weight-growth/losing-weight/index.html
