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DASH食は痩せるのか?降圧のための食事法を体重の視点から一次文献で検証する

健康的なDASHライフスタイル図解
むー

「DASH食(DASHダイエットとも呼ばれます)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。野菜や果物をしっかり食べる健康的な食事法として紹介されることが多く、「ダイエット」という呼び名から、痩せるための食事法だと思っている方もいるかもしれません。

ところが、DASH食はもともと血圧を下げるために作られた食事法です。痩せることを目的に作られたものではありません(その理由は1章で詳しく見ていきます)。では、痩せることが目的ではない食事法は、体重にはどう影響するのでしょうか。

この点は、以前紹介した地中海式ダイエットとも似ています。どちらも「痩せることを目的に作られた食事法ではない」という点で共通しています。また、DASH食には脂質を控える要素も含まれるので、脂質を減らすこと自体の効果については低脂肪ダイエットの記事もあわせて参考にしてください。

先に結論をお伝えすると、DASH食には体重を減らす効果がある可能性が高いものの、その大きさは研究によって差があり、特別に大きいわけではありません。しっかり痩せたいなら、カロリーの管理を組み合わせる必要があります。

この記事では、まずDASH食の効果を最初に示した試験の中身を確認します(1章)。そのうえで、体重への効果を、たくさんの研究をまとめた分析(2章)、体重を変えずにDASH食を続けた場合と減量を組み合わせた場合を比べた試験(3章)、20年ほど追いかけた調査(4章)の順に見ていきます。最後に、国や開発元の考え方と、日本で取り入れるときのポイント(5章)を紹介します。

1章 DASH食とは?最初の試験は「体重を変えない」ように作られていた

DASH食の中身

DASHは「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の頭文字で、「高血圧を防ぐための食事法」という意味です(厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」)。

最初の試験で使われたDASH食は、果物・野菜・低脂肪の乳製品を多くとり、脂質全体と、脂質の一種である「飽和脂肪」を減らした食事でした(Appel et al., 1997, NEJM)。具体的にどんな食品を増やし、何を控えるのかは、5章で紹介します。

最初の試験(DASH試験)の中身

DASH食の効果を最初に示したのが、1997年に発表された「DASH試験」です(Appel et al., 1997)。

この試験では、大人459人に、まず3週間、「対照食」を食べてもらいました。対照食とは、比べるための基準になる食事のことで、この試験では果物・野菜・乳製品が少なく、脂質の量は当時のアメリカの平均的な食事と同じくらいのものでした。

そのあと8週間、参加者はくじ引きで次の3つのグループに分けられました。

  • 対照食をそのまま続けるグループ
  • 果物と野菜を多くした食事のグループ
  • 果物・野菜・低脂肪の乳製品を多くし、脂質全体と飽和脂肪を減らした食事のグループ(論文では「combination diet」と呼ばれ、これが今のDASH食にあたります)

この試験で大切なのは、食塩の量と体重が一定に保たれていたことです。好きなだけ食べてよいという試験ではなく、体重が変わらないように管理したうえで、食事の「中身」だけを変えた試験でした。

結果は、DASH食のグループでは、対照食と比べて、上の血圧が5.5mmHg、下の血圧が3.0mmHg、より多く下がりました(mmHgは血圧の単位です)。もともと血圧が高い人に限ると、その差は上が11.4mmHg、下が5.5mmHgでした。

この試験でわかること、わからないこと

体重が変わらないようにしていたので、この試験で血圧が下がったのは、痩せたからではないということになります。

裏を返すと、この試験からは「DASH食で痩せるか」はわかりません。そもそも体重が変わらないように作られた試験だからです。

また、論文を書いた研究者自身も、この試験は食事を用意して配った11週間の試験であり、ふだんの生活の中でこの食事を続けられるかを調べるものではなかった、と書いています。体重への効果を知るには、別の研究を見る必要があります。

2章 体重への効果:たくさんの研究をまとめた分析の結果

読み進める前に知っておきたい2つのこと

ここから体重についての研究を見ていきます。その前に、2つ知っておいていただきたいことがあります。

1つ目は、体格の呼び方です。この記事で紹介する海外の研究では、BMI(体重と身長から計算する体格の目安)が25〜30未満の人を「過体重」、30以上の人を「肥満」と呼んでいます。一方、日本の基準では、BMIが25以上なら「肥満」です(厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満・メタボリックシンドローム予防の食事」)。呼び方が違って混乱しやすいので、この記事では、研究の対象になった人をなるべくBMIの数字で表します。

2つ目は、研究によって「DASH食」のやり方が違うことです。

研究「DASH食」のやり方
Appel 1997食事をすべて用意して配り、体重を変えないようにした試験
Ge 2020名前のついた食事プログラムとしてのDASH(BMI25以上の人が対象)
Soltani 2016カロリーを抑えたものも含め、いろいろな形のDASH食の試験をまとめて分析
ENCOREふだん通り生活しながら、指導を受けてDASH食を実践(DASH単独グループは体重を保つよう調整)
Fung 2015食事がDASH食にどれだけ近いかを点数にして調べた調査

同じ「DASH食」という言葉でも、中身はこれだけ違います。このあとの結果を読むときは、この違いを頭の片隅に置いておいてください。

有名な食事法どうしを比べた研究

この章で紹介するのは「メタ分析」と呼ばれる研究です。メタ分析とは、同じテーマで行われたたくさんの研究の結果をまとめて、より確かな答えを出そうとする方法です。

体重への効果を考えるうえで、特に信頼性が高いのが、2020年に医学誌BMJに発表された研究です(Ge et al., 2020, BMJ)。

この研究は、アトキンス、DASH、地中海式など、名前のついた14の有名な食事法を比べました。使われたのは「ネットワークメタ分析」という方法で、実際には直接比べられていない食事法どうしも、たくさんの研究の結果をつなぎ合わせて比べられるようにする方法です。まとめられたのは、BMI25以上の大人を対象に、くじ引きでグループを分けて比べた試験(ランダム化比較試験)でした。

その結果、6か月の時点でふだんの食事と比べると、DASH食では体重が3.6kg、上の血圧が4.7mmHg、下の血圧が2.9mmHg、より多く減っていました。この結果の確かさは「中程度」と評価されています。炭水化物を減らす食事法であるアトキンスやゾーンと並んで、効果が大きいグループに入っていました。

ただし、この論文は食事法を「炭水化物を減らす」「脂質を減らす」といった栄養の割合でも分けて比べていて、その結論は「ほとんどの食事で、6か月で減る体重はそれほど大きくない」というものでした。ですので、DASH食が特別に痩せる食事法だと受け取るべきではないと考えます。

さらに、12か月の時点では、どの食事法でも体重を減らす効果が小さくなっていました。

DASH食だけに絞った分析

DASH食だけに絞って、体重への効果を調べたメタ分析もあります(Soltani et al., 2016, Obesity Reviews)。

この研究では13本の論文がまとめられ、そのうち10本が体重の分析に使われました。その結果、比べる相手のグループ(対照群)と比べて、体重は8〜24週で1.42kg、BMIは8〜52週で0.42、ウエストは24週で1.05cm、より多く減っていました。

また、効果が大きかったのは、(海外の区分でいう)過体重・肥満の人や、比べる相手が欧米型の食事や、その人たちのふだんの食事だった場合でした。カロリーを抑えた形のDASH食は、同じようにカロリーを抑えた他の食事と比べても、体重がより減っていました。

この章のポイント

2つの研究を並べると、効果の大きさに差があります(Ge 2020では3.6kg、Soltani 2016では1.42kg。どちらも比べる相手との差です)。この差には、何と比べたか(ふだんの食事か、カロリーを抑えた他の食事か)、期間の長さ、対象になった人の違いが関係している可能性があります。

まとめると、DASH食には体重を減らす効果がある可能性が高いと言えます(確かさ:中程度)。ただし、効果の大きさは比べ方によって変わり、ほかの食事法と比べて特別に大きいわけではありません。

3章 体重を変えずにDASH食を続けたら?減量を組み合わせたら?:ENCORE試験

2章では、DASH食には体重を減らす効果がある可能性が高いことを見ました。では、ふだんの生活の中でDASH食を続けると、体重や血圧はどうなるのでしょうか。ここでは、DASH食に減量の取り組みを組み合わせた場合も含めて比べた「ENCORE試験」を紹介します。

試験の中身

ENCORE試験に参加したのは、BMIが25〜40で、血圧が正常より高め(上が130〜159mmHg、または下が85〜99mmHg)で、血圧の薬を飲んでいない大人144人でした(Blumenthal et al., 2010a, Arch Intern Med; 2010b, Hypertension)。

参加者は16週間(約4か月)、次の3つのグループに分けられました(Blumenthal et al., 2010a)。

  • DASH単独グループ:DASH食に切り替える。ただし運動や減量はせず、食事の中身を変えることだけに集中する
  • DASH+体重管理グループ:DASH食に加えて、カロリーを減らして体重を落とす(最初の2週間は、1週間に約0.45kg減らせるよう1日500kcal少ない食事を配られた)。さらに、週3回の指導付きの運動と、週1回の減量のためのプログラム(認知行動療法)を行う
  • ふだんの食事グループ:いつも通りの食事を続ける

ここで大切なのが、DASH単独グループの設計です。DASH単独グループとふだんの食事グループは、最初の2週間、体重が増えも減りもしない量の試験食を配られました。その後もDASH単独グループは毎週体重を測り、体重が安定するように食事の量を調整していました。つまり、DASH単独グループは、はじめから「体重を変えない」ように作られたグループです。

最初の2週間のあとは、DASH食の2つのグループの参加者は、ふだん通り生活しながら、週1回、栄養士の指導を受けてDASH食を続けました。

体重の結果

16週間で、各グループの体重は次のように変わりました(Blumenthal et al., 2010b)。

  • DASH+体重管理グループ:−8.7kg
  • DASH単独グループ:−0.3kg(95%信頼区間 −1.2〜0.5)
  • ふだんの食事グループ:+0.9kg

「95%信頼区間」とは、「本当の値はおそらくこの範囲のどこかにある」という幅のことです。DASH単独グループの幅は、マイナス(減った)からプラス(増えた)にまたがっていて、体重はほとんど変わっていません。ただし、これは体重を保つように調整していたからで、設計どおりの結果です。この試験から「DASH食に切り替えるだけで痩せるかどうか」はわかりません。

血圧の結果

一方、血圧は、それぞれのグループで次のように下がりました。ここでの数字は、試験の前と後を比べた変化です(Blumenthal et al., 2010a)。

  • DASH+体重管理グループ:上が16.1mmHg、下が9.9mmHg
  • DASH単独グループ:上が11.2mmHg、下が7.5mmHg
  • ふだんの食事グループ:上が3.4mmHg、下が3.8mmHg

注意したいのは、これらが「各グループの前後の変化」だという点です。1章や2章で紹介した「比べる相手との差」とは数字の種類が違うので、そのまま大きさを比べることはできません。

また、この試験に参加したのは、血圧の薬を飲んでいない人です。血圧の治療を受けている方は、5章の注意点もあわせて読んでください。

この章のポイント

  • 体重が変わらないように調整していても、最初の2週間のあと、ふだんの生活の中でDASH食を続けると、血圧は下がりました。1章の試験の結果を、日常生活に近い条件で確かめた形です。
  • DASH食に減量の取り組みを組み合わせると、体重が8.7kg減り、血圧もより大きく下がりました。ただし、この差にはカロリーを減らしたことだけでなく、運動や行動療法も関わっています。
  • 血糖値を下げるホルモン(インスリン)の効き具合や、コレステロールなど血液中の脂質は、体重を保ったDASH単独グループではほとんど良くなりませんでした(Blumenthal et al., 2010b)。
  • 一方で、DASH単独グループは体重を保つように調整されていたので、この試験からは「DASH食に切り替えるだけで痩せるか」はわかりません。

4章 長い目で見ると太りにくいのか、なぜ効くかもしれないのか

ここまでの研究は、長くても1年ほどのものでした。では、20年ほどの長い期間で見ると、DASH食と体重にはどんな関係があるのでしょうか。

20年ほど追いかけた調査

アメリカで長く続いている3つの大規模な調査のデータを使った研究があります(Fung et al., 2015, Journal of Nutrition)。

対象は、看護師の女性を追いかけている調査(NHSが50,603人、より若い世代のNHS IIが72,495人)と、医療関係の仕事をしている男性を追いかけている調査(HPFSが22,973人)です。合わせて約14.6万人です。4年ごとに食事の内容を調べ、長い人で20年ほど追いかけました。この研究では、食事がDASH食にどれだけ近いかを「DASHスコア」という点数で表しています。

その結果、食事がDASH食に近づくほど、4年間で体重が増える量が少ないという関係が見られました。具体的には、DASHスコアが一定の幅(統計でいう「標準偏差」1つ分)上がるごとに、4年間の体重の増え方が0.42kg少なくなっていました(95%信頼区間 −0.54〜−0.29)。

また、スコアが最も大きく上がったグループ(グループの真ん中にあたる人で4点アップ)では、スコアが変わらなかったグループと比べて、4年間の体重の増え方が0.55kg少なくなっていました。

この関係は、それぞれの4年間の始まりの時点でBMIが25以上だった人のほうが強く(スコア1標準偏差あたり−0.60kg)、BMI25未満の人(−0.26kg)より大きい、という結果でした。

ここで気をつけたいのは、この研究でわかったのは「痩せた」ことではなく、「太りにくかった」ことだという点です。参加者の体重は、平均すると調査の期間中に増えていました。DASH食に近い食事をしていた人ほど、その増え方が少なかった、ということです。

この調査を読むときの注意点

この調査には、いくつか知っておきたい限界があります。

  • 食事を変えてもらった試験ではなく、もともとの食習慣を追いかけた調査(観察研究)です。そのため、DASH食が太りにくさの原因だとまでは言い切れません。
  • 調査の始まりの時点でBMIが30を超えていた人は、対象から外されています。この調査の目的が、肥満を治すことではなく、太るのを防ぐことを調べる点にあったためです。
  • 体重は本人の申告です。NHSで確かめたところ、申告した体重と実際に測った体重はよく一致していました(相関0.96)。ただし、体脂肪や筋肉の量は測っていません。
  • 3つの調査のあいだで、結果の大きさにばらつきがありました。

なぜ効くかもしれないのか(仮説)

では、DASH食に近い食事が、なぜ太りにくさと関係しているのでしょうか。

論文では、いくつかの理由が考えられています。その中で最も一般的とされているのが、満腹感による説明です。果物や野菜のように、量のわりにカロリーが低い食べ物は満腹感が長続きしやすく、その結果、全体として食べる量が減るのではないか、というものです(Fung et al., 2015)。

ただし、これはあくまで仮説です。この調査でわかったのは「関係がある」ということまでで、この仕組みが実際に働いていることを確かめたわけではありません。

この仮説は、痩せるにはとるカロリーを使うカロリーより少なくする必要があるという、減量の一般的な原則(まとめで紹介します)とも合っています。DASH食が体重に効くとしても、それは結果として食べる量(とるカロリー)が減った場合だと考えるのが自然です。

5章 国と開発元の考え方、日本で取り入れるときのポイント

日本(厚生労働省)での位置づけ

厚生労働省のe-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」では、日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」が、DASH食を高血圧を改善するための食事法として紹介していることが書かれています。

e-ヘルスネットでは、DASH食を、カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維・不飽和脂肪酸(脂質の一種)を多くとり、飽和脂肪酸(脂質の一種)や、食事からとるコレステロールを控える食事、と説明しています。

注目したいのは、e-ヘルスネットが挙げている血圧対策の5つの項目の中で、「DASH食をとる」(3つ目)と「適正体重を保つ」(4つ目)が別々の項目になっていることです。DASH食は、あくまで血圧対策の一つとして位置づけられています。

開発元(アメリカのNHLBI)の考え方

DASH食を開発したアメリカの国立心肺血液研究所(NHLBI)は、DASH食の効果を得るには、塩分を控えることに加えて、体重を保つため、または必要なら減らすために、ちょうどよいカロリーをとることが大切だとしています(NHLBI「Living with DASH」)。

また、NHLBIの一般向け資料(「Tips to Lowering Calories on DASH」)では、DASH食には果物や野菜など、カロリーが低くて満腹感を得やすい食べ物が多いので、痩せるのに役立つ可能性がある、としています。そのうえで、痩せるための最もよい方法として、少しずつ進めること、体を動かす量を増やすこと、カロリーを抑えたバランスのよい食事をとることを挙げています。DASH食を続けながら1日のカロリーを少しずつ減らしていくことが、健康的な体重を保つのに役立つ、ともしています。

日本でもアメリカでも、DASH食は血圧対策として位置づけられています。そして、痩せるために使う場合について、開発元のNHLBIは、カロリーの管理と組み合わせることを基本としています。

日本で取り入れるときのポイント

はじめにお伝えしておくと、この記事で紹介した体重の研究には、日本人を対象にしたものは含まれていません。ここで紹介する数字は、日本の国の基準に基づくものです。

食塩とカリウムの目安

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、大人の1日あたりの目標を次のように決めています。

  • 食塩:男性7.5g未満、女性6.5g未満(高血圧や慢性腎臓病の悪化を防ぐためには、男女とも6.0g未満)
  • カリウム:男性3,000mg以上、女性2,600mg以上

一方、令和5年の国民健康・栄養調査(20歳以上の平均)では、食塩は目標より3gほど多く、カリウムは400〜600mgほど足りていません(厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」)。多くの日本人にとって、DASH食の「塩分を減らす」「カリウムを増やす」という方向性は、そのまま当てはまると言えそうです。

具体的な食べ方

e-ヘルスネットでは、野菜や果物、低脂肪の乳製品、魚、主食の全粒穀物(精製していない穀物)を積極的に取り入れ、赤身の肉やお菓子、砂糖の入った飲み物を控えることで、DASH食に近づけられるとしています。

始めるときの注意点

  • 食物繊維を急に増やすと、お腹が張ったり、下痢をしたりすることがあります。野菜・果物・全粒穀物は何週間かかけて少しずつ増やし、水分を多めにとるとよいとされています(NHLBI「Tips to Lowering Calories on DASH」)。
  • 乳製品が体に合わない方は、ヨーグルトやチーズ、乳糖を取り除いた低脂肪・無脂肪の牛乳を選ぶ方法があります(同上)。

安全のための注意点

  • 腎臓の病気があると言われている方は、カリウムのとり方について、必ず医師の指示に従ってください(厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」)。
  • 特に高齢の方は、腎臓の働きが落ちていたり糖尿病があったりすると、カリウムが体にたまりすぎる「高カリウム血症」になることがあり、注意が必要とされています(日本人の食事摂取基準2025年版)。
  • 医療機関にかかっている方は、担当の医師の指示に従ってください(厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」)。

まとめ

ここまで紹介した研究を一覧にすると、次のようになります。

研究体重の結果数字の種類注意点
Appel 1997変化なし(変わらないように管理)—大人459人、8週間。体重を変えないように作られた試験
Ge 20203.6kg減ふだんの食事との差BMI25以上、6か月。12か月で効果が小さくなる。確かさ:中程度
Soltani 20161.42kg減比べる相手との差13本の論文、8〜24週。比べる相手は研究ごとに違う
ENCORE(DASH単独)−0.3kg前後の変化BMI25〜40、血圧の薬なし、16週間。体重を保つよう食事の量を調整
ENCORE(DASH+体重管理)−8.7kg前後の変化同上。カロリー制限+運動+行動療法
Fung 2015体重の増え方が0.42kg少ない関係(観察研究)約14.6万人、始まりの時点でBMI30以下、4年ごと。スコア1標準偏差あたり。原因とまでは言えない

数字の種類が違うものどうしは、そのまま大きさを比べられない点にご注意ください。

痩せるための一般的な原則として、アメリカの心臓や肥満に関する3つの学会(米国心臓協会・米国心臓病学会・米国肥満学会)が2013年にまとめた肥満管理のガイドラインは、どの食事法でも、痩せるにはとるカロリーを使うカロリーより少なくする必要があり、カロリーを抑えたいろいろな食事で同じくらい痩せられる、としています(Jensen et al., 2014)。

ここまでの内容をまとめると、次のようになります。

  • DASH食は、血圧を下げることを主な目的とした食事です。体重が変わらないようにしていても血圧が下がることが、試験で示されています。
  • DASH食には体重を減らす効果がある可能性が高いものの、その大きさは研究によって差があり、特別に大きいわけではありません。
  • しっかり痩せたいなら、カロリーの管理を組み合わせる必要があります。具体的な減量計画の立て方は、7,000kcalルールの記事で紹介しています。

最後に、実際に取り組むときのポイントです。DASH食の試験やメタ分析で見られた体重の差は、数か月で1〜数kgくらいです。こうした変化は何か月もかけて起こるもので、1週間あたりにするとわずかです。毎日の体重の上がり下がりに隠れてしまいやすいので、数日ごとの数字ではなく、長い期間の流れで判断するのがおすすめです。体重の上がり下がりの見方は、体重変動の記事で詳しく紹介しています。なお、ENCORE試験で体重が8.7kg減ったのは、カロリー制限・運動・行動療法を組み合わせた場合でした。

DASH食は、血圧対策としてしっかりした根拠のある食事法です。体重についても、カロリーの管理と組み合わせることで、無理なく食事を見直す選択肢の一つになりそうです。

参考文献

  1. Appel LJ, Moore TJ, Obarzanek E, et al. A clinical trial of the effects of dietary patterns on blood pressure. N Engl J Med. 1997;336(16):1117-1124.:DOI
  2. Ge L, Sadeghirad B, Ball GDC, et al. Comparison of dietary macronutrient patterns of 14 popular named dietary programmes for weight and cardiovascular risk factor reduction in adults: systematic review and network meta-analysis of randomised trials. BMJ. 2020;369:m696.:DOI(訂正:BMJ. 2020;370:m3095.:DOI)
  3. Soltani S, Shirani F, Chitsazi MJ, et al. The effect of dietary approaches to stop hypertension (DASH) diet on weight and body composition in adults: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled clinical trials. Obes Rev. 2016;17(5):442-454.:DOI
  4. Blumenthal JA, Babyak MA, Hinderliter A, et al. Effects of the DASH diet alone and in combination with exercise and weight loss on blood pressure and cardiovascular biomarkers in men and women with high blood pressure: the ENCORE study. Arch Intern Med. 2010;170(2):126-135.:DOI(本文中の2010a)
  5. Blumenthal JA, Babyak MA, Sherwood A, et al. Effects of the dietary approaches to stop hypertension diet alone and in combination with exercise and caloric restriction on insulin sensitivity and lipids. Hypertension. 2010;55(5):1199-1205.:DOI(本文中の2010b)
  6. Fung TT, Pan A, Hou T, et al. Long-term change in diet quality is associated with body weight change in men and women. J Nutr. 2015;145(8):1850-1856.:DOI
  7. 厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」(最終更新2026年5月15日):e-ヘルスネット
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満・メタボリックシンドローム予防の食事」(最終更新2025年6月16日):e-ヘルスネット
  9. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 p.243〜285:PDF
  10. National Heart, Lung, and Blood Institute. Living with DASH.:NHLBI
  11. National Heart, Lung, and Blood Institute. DASH Eating Plan: Tips to Lowering Calories on DASH.:PDF
  12. Jensen MD, Ryan DH, Apovian CM, et al. 2013 AHA/ACC/TOS Guideline for the Management of Overweight and Obesity in Adults. J Am Coll Cardiol. 2014;63(25 Pt B):2985-3023.:DOI

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歯科医師・ブロガー
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